薬はリスクを併せ持つものです。
病気やけがを治すのに役立つ「薬」。
しかし、程度に差はありますが、どんな薬でも副作用を起こすリスクがあります。正しく使わなければ思わぬ副作用を引き起こすこともあります。そのため、専門家から適切なアドバイスを受けて、正しい使用方法を理解してから使用しなければなりません。
副作用とは…
副作用とは、例えばアナフィラキシー※や肝機能障害のような、薬の望ましくない作用のことです。
(※アレルギー反応の一種。皮膚のかゆみ、じんましんなどが始まり、ひどくなると息苦しくなったり、ショック状態になることもある)
薬を使用したからといって必ず起こるわけではありませんが、次のような人は特に注意が必要です。医師や薬剤師に相談してから使用するようにしましょう。
- アレルギーのある人
- 過去にひどい副作用を経験したことがある人
- 医師の治療を受けている人
- 肝臓・腎臓など、薬の成分を代謝・排泄する臓器に疾患のある人
- 他にも薬を飲んでいる人
- 妊娠している女性、妊娠の可能性のある女性、授乳中の女性
- 高齢者
- 仕事などで特別な環境にある人(例:高所作業者やドライバーなど)
お薬の正しい服用方法
- 食前、食後、食間、頓服等決められた時間を守る!
- 自分の判断で飲む量を変更しない!
- 自分の判断で服用を中止しない!
- 出来るだけ水、ぬるま湯で飲む!
食前 | 食事の30分くらい前 |
---|---|
食直前 | 食事のすぐ前 |
食直後 | 食事がすんだらすぐ |
食後 | 食後30分以内 |
食間 | 食後2~3時間後 |
就寝前 | 寝る30分くらい前 |
とんぷく 頓服薬 |
医師・薬剤師の指示に従って必要な時 |
目薬の使い方
目薬をさす前に手を洗ってください。
- 指で下まぶたを下の方にひっぱり、容器の先が目やまつげなどに触れないように1~2滴さしてください。
- 2種類以上の目薬がでた場合は5分以上あけて、お使い下さい。
坐薬の使い方(飲んではいけません)
先のとがった方から肛門に完全に挿入し、しばらく押さえておきます。 この時、身体に力を入れると坐薬は入りにくいので、できるだけ力を抜いてください。
呼吸をゆっくりするように心がけると、少し楽になります。
- できるだけ排便後にお使い下さい。
- なるべく冷蔵庫に保管して下さい。使用する20〜30分くらい前に冷蔵庫から出して室温に戻してから使います。
- 坐薬の先端を少し水でぬらしたり、ベビーオイルをつけたり、手で温めたりすると入れやすくなります。
お薬の飲み合わせについて
- お医者さんにかかる時または薬局でお薬を買う時に、他のお薬を飲んでいる場合は、必ず医師または薬剤師に相談してください。
- お薬の作用が強くなったり、弱くなったりして期待通りの効果が得られない場合があります。
食べ物との飲み合わせについて
- お薬の中には食品と一緒に飲むと効き目が悪くなるものもあります。必ず医師または薬剤師に相談してください。
薬の正しい保管の仕方
- 湿気・日光・高温を避けましょう。
- お薬以外のものと区別して保管しましょう。
- 小さい子供さんの手の届かない場所に保管しましょう。
- 古くなったお薬は捨てましょう。
- 自分のお薬は他人にあげないようにしましょう。
便利なお薬手帳
お薬手帳は、あなたに処方されたお薬の名前・飲む量・回数・使用法などを記録する手帳です。医師や薬剤師はこの手帳を見てどのようなお薬をどのくらいの期間使っているかが判断できます。また他の病院・医院等でお薬をもらう時にも、医師や薬剤師にお薬手帳を見せる事で同じお薬が重なっていないか、また飲み合わせは大丈夫か等確認できます。副作用歴、アレルギーの有無、過去にかかった病気、体調の変化などについても記入できます。
ぜひお薬手帳のご使用を!!
以下の「お薬Q&A」をご一読いただき、お薬使用方法等を、更にご理解いただければ幸いです。
- Q1. 薬と薬や薬と食べ物との悪い飲み合わせはある?
- A:2種類以上の薬を飲んだ時に、効果の増強や減弱、副作用が起こることを「薬物相互作用」と呼びます。これは病院でもらう薬ばかりでなく、市販薬や漢方薬、特定の食品などとの間でも起こる可能性があります。個々の薬について詳しいことは医師や薬剤師にたずねましょう。
- Q2. カプセルをはずしたり、錠剤をつぶして服用してもいい?
- A:勝手にカプセルをはずしたり、錠剤をつぶして飲むと効果がなくなったり、副作用が現れやすくなったりすることがあります。カプセルや錠剤で飲むのが困難なときには、同じ薬で顆粒などがある場合があります。まず医師や薬剤師に相談するとよいでしょう。
- Q3. 一度にたくさん飲んだり、1日1回の薬を1日3回飲めば、早く良く効きますか?
- A:確かに一度にたくさん薬を飲んだり、1日1回の薬を1日3回飲めば、薬は体内に多く吸収され、血液中の薬の濃度は高くなります。しかし、副作用も出易くなります。また決められた量では見られないような、重大な有害作用も現れやすくなるため、1度に多く飲むのは危険です。決められた量を飲みましょう。
- Q4. 医師から処方された薬を飲んでいますが、風邪気味の時に市販の風邪薬を飲んでも大丈夫ですか?
- A:そのような場合は必ず医師または、薬剤師に相談してください。同じ効果を持つ成分が入っている場合は、作用が強く出たり、或いは副作用の心配があります。
- Q5. 薬をお茶で飲んではいけませんか?
- A:大丈夫です。以前は、飲まないようにと言われていましたが、近年、鉄分を含んでいる薬でも大丈夫なことがわかってきています。しかし、なるべくお水やぬるま湯でお飲みください。
- Q6. 仕事の関係で、薬を指示通り飲めないのですが?
- A:多少の時間のずれは大丈夫です。ただし、2回分を1度に飲むことは絶対にしないで下さい。詳しくは医師または薬剤師に相談してください。
- Q7. 老人の薬服用についての注意点は?
- A:年をとると、肝臓や腎臓などの各臓器の機能が次第に低下してしまいます。そのため、思わぬ副作用がでることもありますので、指示された用法・容量は必ず守って下さい。
- Q8. ひざ痛の薬と頭痛薬や歯痛の薬は一緒に飲んでも大丈夫?
- A:同じ痛み止めの薬が重なることになり、副作用が出ることもあります。医師または薬剤師の指示に従って服用してください。
- Q9. 副作用をできるだけ避けるためには?
- A:薬を飲んでいつもと違う変化が現れたら、なるべく早く医師や薬剤師に相談してください。しかし副作用かと思っても必ずしも薬が原因とは限らないため、勝手に服用を中止せず、医師もしくは薬剤師の指示を受けるようにして下さい。複数の病院で薬を処方してもらう場合は必ず医師に今飲んでいる薬を告げるか現物を持参するようにしましょう。市販薬を購入する場合も同様です。
薬を飲んでいる場合には飲酒や特定の食べものを避けるようにしてください(詳しくは医師または薬剤師に確認してください)。薬は決められた容量を決められた時間に飲み、飲み忘れた場合の対応をあらかじめ薬剤師に尋ねておくと良いでしょう。
アレルギー体質は遺伝する場合もあるので、親兄弟の体質を知っておくことも大切です。また、慢性病のため長く薬を飲んでいる場合は、定期的な診断を受け、医師のチェックを受けてください。もし副作用を経験したらその薬の名前を確かめ、その時の症状を記録しておくようにしましょう。その他に、いろいろ相談できるかかりつけの医師や薬剤師を決めておくことも大切です。 - Q10. 漢方薬には副作用はないのですか?
- A:少ないとは言われていますが、絶対にないわけではありません。漢方薬の種類によって異なりますので、詳しいことは漢方薬を扱っている薬剤師にお尋ね下さい。
- Q11. 薬屋さんやドラッグストアーで売っている市販の風邪薬なら、副作用の心配はありませんか?
- A:市販薬にも副作用はあります。その中には発生数は非常に少ないですが、重大なものもあります。詳しくは店頭の薬剤師にお尋ね下さい。
- Q12. 小学生が1日3回の薬を飲む場合に、給食後のお薬はどうしたらよいでしょう?
- A:錠剤は1回分をビニールの小さい袋に入れ、液剤の場合は1回分を小ビンに入れて持たせるのがよいと思います。また、1日1~2回服用の薬に変更してもらう事を医師に相談してみてはいかがでしょうか。
- Q13. 子供に坐薬を入れたら、すぐに排泄してしまいました。どうしたらよいでしょうか?
- A:すぐでしたらもう一度入れて下さい。30分以上経ってからでしたら、1時間位様子を見て、もう一度入れて下さい。もし排泄物の中に坐薬の形が見えなければ、すでに体に吸収されたものと考えて下さい。
- Q14. 子供の薬には、着色料や甘味料が使われていると聞いたが大丈夫ですか?
- A:問題ありません。厚生労働省で認められた着色料や甘味料が使用されていますので、心配はありません。
- Q15. 赤ちゃんに母乳をあげていますが、薬を飲んでいると影響がありますか?
- A:薬の種類によっては、成分が母乳中に移動して、赤ちゃんの体内に入ってしまう事があります。医師や薬剤師に母乳をあげている事を必ず伝えて下さい。
(厚生労働省・日本薬剤師会・堺市薬剤師会 資料抜粋)