医薬分業について


医薬分業とは、病気になり医師の診断を受けた際に、病院・診療所で薬をもらう代わりに処方せんをもらう方式の事を言います。処方せんには薬の種類、使い方が書いてあります。その処方せんを持って街の保険薬局に参りますと、薬剤師が書かれている薬の量やのみ合わせ等をチェックの上、調剤します。皆様方には、処方せんと引き換えに薬が渡されます。

医療の高度化とともに機能分化が進み、現在の医療には様々な専門分野があります。 それぞれの専門家がチームワークを組み、協力し合うことでよりよい医療の提供が図られています。

医薬分業も、医師と薬剤師が協力してお薬をより安全に使っていただくための制度です。

以下の「医薬分業Q&A」をご一読いただき、医薬分業を更にご理解いただければ幸いです。

Q1.「処方せん」って何ですか。
A:あなたが病気にかかって、お医者さんに行きますと、まずあなたを診察します。次に、必要ならいろいろな検査をします。その結果、治療上薬が必要となると、使う薬を選び、その量及び使い方を決めます。これを記入したものが処方せんです。処方せんを渡されたら保険薬局に持って行き、調剤してもらって下さい。
Q2.お医者さんは、どうして処方せんを出すのですか。
A:お医者さんは処方せんを出し、お薬のことを専門家である薬剤師にまかせることで、一層診療に専念することができます。
その結果患者さんは、より充実した医療を受けられるようになります。
また、お医者さんが自由にお薬を処方できるため、患者さんに処方するお薬の幅が広がります。
Q3.どこのお医者さんでも、処方せんは出してもらえますか。
A:はい。どこの病院、医院でももらえます。
Q4.「くすり屋さん」なら、どこでも処方せんが調剤できますか。
A:お薬を扱う店には「薬局」と「薬店」がありますが、「薬局」であればどこでも処方せんにより調剤できます。
「調剤室」があり、薬剤師が必ずいるところが薬局です。
また、「保険薬局」、「保険調剤」、「処方せん受付」などの表示があるところは必ず薬局ですので、どこでも調剤できます。
Q5.薬局では処方せんに書いてある通りの薬を調剤してもらえますか。
A:はい。もちろんです。処方せんの通り正確に調剤します。
Q6.薬局はいつでも調剤してくれるのですか。
A:はい。処方せんの交付日を含め4日以内ならいつでも調剤します。
Q7.処方せんは、代理の者が持って行っても調剤できますか。
A:処方せんがあれば、ご本人でなくてもかまいません。
患者さんはお宅でお休みになり、ご家族の方などが処方せんをお持ちになっても、調剤できます。
Q8.お薬だけほしい場合は、お医者さんに行かなくても薬局で調剤できますか。
A:いいえ、それはできません。
薬剤師は、お医者さんの診断の結果、症状に応じて出された処方せんにもとづき調剤しますので、その都度、受診しなければなりません。
Q9.処方せんを薬局に持って行くと調剤の前にいろいろ聞かれますが、なぜですか。
A:お薬を安全に使用していただくために必要なことをお聞きします。
例えば、以前にお薬で副作用やアレルギーが起きたことはなかったか、他にどんなお薬を服用しているかなど、心配が無いことを確認して調剤します。
なお、一度お聞きしたことは薬局で記録(これを「薬歴」といいます)しておき、次回の調剤に役立てます。
かかりつけの薬局を決めておくと、あなたの使用するお薬(2カ所以上の医療機関からのお薬や大衆薬等)の重複や相互作用をチェックできるので、より一層安全なお薬の使用が期待できます。
Q10.調剤のあとで、お薬の名前や効能・効果を書いたメモを渡されることがありますが、なぜですか。
A:薬剤師は、処方されたお薬について説明することが義務づけられています。
お薬の名前、形や色、用法・用量、効能・効果、副作用のほか、食事、飲物を取る上での注意、保管や服用上特に留意すべき事項などをくわしくご説明します。
また、必要があればそれをメモにして患者さんにお渡しします。
あなたがお薬を使う上で大切なお知らせが書かれています。服用の前には必ずお読み下さい。
Q11.病院や医院でかかった医療費は医療費控除の対象になりますが、薬局で調剤してもらった分はどうなりますか。
A:病院や医院に支払った医療費と同じく、薬局で調剤してもらい支払った分も医療費控除の対象になります。薬局では、調剤の際患者負担金がある場合は領収書をお渡ししていますので、大切に保管しておいて下さい。
Q12.お医者さんで出るお薬よりも料金が高いのはなぜですか。
A:処方せんにより薬局でお薬を受け取る場合、病院から直接お薬をもらうよりも患者さんの負担は若干高くなります。これは、薬局では患者さんのお薬の使用歴(薬歴)を記録したり、丁寧な服薬指導を行うことによるものです。
なお、病院や医院と同じように、薬局でも老人保健、乳児医療、労災保険等が適用になります。
Q13.処方せん調剤の料金は薬局によって違うのですか。
A:保険処方せんによる調剤の料金は国で定められていて基本的には全国どこでも同じですが、薬局の規模や調剤サービスの内容によって若干の違いが生じてくる場合もあります。
Q14.処方せんをもらうと、薬局に行く手間が増えめんどうですね。
A:手間が増えることは事実です。しかし、お医者さんに行く途中には、何軒か薬局があると思います。どこでもあなたの都合のよい薬局で調剤してもらって下さい。もし、他に用事があって忙しい場合には処方せんを薬局に預けておき、都合のよいときに薬をもらいに行くこともできます。
Q15.薬局へファックスで処方せんを送ることができると聞きましたが。
A:かかりつけの薬局に処方せんをファックスで送っておくと、実物の処方せんを薬局に持って行けばすぐにお薬を受け取ることができます。
また、お体が不自由であったり、一人暮らしで薬局に行けない場合や、透析液のように持ち帰りが困難なお薬の場合などは、ご自宅までお薬をお届けすることも可能です。
Q16.家で寝たきりの祖父がいます。薬局の薬剤師が自宅に来てお薬の説明や介護用品の使い方などのアドバイスをすると聞いたのですが。
A:はい。処方せんによるお医者さんからの指示・要請で・薬局の薬剤師が患者さんのお宅へ伺い、必要なアドバイスを行ったり、お薬に関するご相談に応じます。
ご自宅の近くの薬局をあなたの「かかりつけ薬局」に決めておけば、こんな面でも便利で安心です。

お分かりいただけましたか?医薬分業のこんなメリット!

  1. 医師が診療に専念し、薬剤師が調剤することにより、お薬の使用がより安全になります。
  2. 処方せんにより、あなたのお薬の処方内容が明らかになります。
  3. かかりつけ薬局ではあなたのお薬に関する記録を保管しています。お薬に対するアレルギー、副作用等を記録しておくことで、あなたの服用するお薬の安全性を高めることができます。
  4. 他の病院や診療所の処方と同じ薬が重複していたり、危険な飲み合わせがある場合など処方内容に疑問がある場合、薬剤師が医師に問い合わせ、その結果、処方内容の変更や、処方中止等の処置がとられることもあります。
  5. 飲み忘れ・飲み間違いを防ぐため、1回に飲むお薬を一包にまとめたり、お薬の名前や飲み方、効能・効果や副作用などの情報を書いたメモをお渡しして説明をしたり、お薬手帳や健康手帳にお薬の情報などの記録もします。特に複数の医療機関や診療科を受診している患者さんは、是非1カ所「かかりつけ薬局」を決めて、処方せんによる調剤を受けられることをお勧めします。

(日本薬剤師会 資料抜粋)